ある日突然

馥郁たる香りが背中よりある日突然香って来振り向くと
きんもくせいの花が咲き誇っている。普通植物の花はと言っても
あまり詳しくはないが、芽が出て蕾が少しずつふくらんで
まだかまだかと花の咲くのを待ちわびているものだが
此の花に限っては辺り一面に漂う香りに花の開花を知るようだ。
だまし討ちにあったような気もするが、何とも言えぬ優しく甘い香りに
包まれていると幸せ感にみち満ちて来るから不思議な気持ちだ。そんな中
久しぶりの秋晴れに久しく怠っていた押し入れの掃除、布団干しと動き回る。
今頃知人たちはこの秋晴れの下写真撮影に頑張っているのだろうなと
ちょっとしゃくになるが掃除のついでに庭に出て大きく両手を広げ
きんもくせいの香りを胸いっぱいに吸い込み自身を慰めている。