驚き桃の木

小倉駅のホームでツツーット体を寄せてきた方があり、一瞬立ち止まり
その方をやり過ごそうか、かまわずさっさと前に行こうかと思ったが
尚も体を摺り寄せてくる。痴漢か変態かそれにしてもこの婆さんにと
その時点では男性か女性かも判断しかねた。というのも新幹線の中で
時間つぶしに肩の凝らない本をと(犯罪者はどこに目をつけているか)を買って
ぱらぱらとめくった中に路上で狙われやすい六つのタイプという章を読んだばかり
だったからだ。私が尚も無視をしているとしびれを切らしたのか相手が名乗った。
顔を上げると知人で偶然にも同じ新幹線に乗っていたとのこと。びっくりしたのなんの
お蔭様で小倉から大分まで話が弾んであっという間に帰り着いた。
だがなぜあの時誰かなと顔をすぐあげなかったのか、新幹線の中で半分うとうとして
寝とぼけていたからだろうか。こんな事なら化粧直しでもしとけばと思ったが後の祭り。