佇まい

南国には珍しくお昼過ぎから降り出した雪に遊びに来ていた友が
郊外の家に帰れなくなり急遽我が家に泊まった。
雪と言っても市内は氷雨が音もなく降りしきるだけ。老女二人好き勝手に
雨夜の品定めよろしくどんな俳優(もちろん男優)が好みか、深夜まで面白おかしく
話し込んだ。急に言われても森雅之一筋で来た身にはこれと言って思い当たらない。
何故彼なのかもう故人なのにと思うが、成瀬巳喜男浮雲は何度見たかわからない。
勝手な解釈で改めてどこがと思うに、佇まいその一言に魅力が凝縮しているように
感じられるのだが。家にも庭にもその言葉は使われるが人にも当てはまるのでは
ないだろうか。人のことはあれこれ無責任に批判や批評などしているがはたして
わが身に置き換えてみると到底品格佇まいに届かなく情けない話だ。