さくらさくら

さまざまのこと思い出す桜かなという芭蕉の有名な句があるが
本当に桜にまつわる思い出は尽きることがない。中でも竹田のほうに行くたび
ちらっと眼に飛び込む玉来のこうとう稲荷神社。いつも見て見ぬふりをして
通り過ぎていたが、当てにしていた枝垂桜も盛りを過ぎおめおめ帰るのもと思い
40数年ぶりに尋ねてみた。身内に稲荷信仰の狂信的信者が数人おり宗教に
辟易していた身にはどうでもよいところだったが、桜の花の美しさと赤い鳥居が
妙にマッチして、何とも言えず美しい光景だった。今は亡き姑のお供で腰痛を隠して
石段を上りつめたところ、いつの間にかその痛みが消えていた。今思えば
逆療法だったのか、久しく忘れていた姑とお稲荷さんの事をつい思い出していた。